きょうたんご福祉ナビ

きょうたんご福祉ナビ

初回投稿:2022年03月12日
最終更新日: 2022年03月31日

「京丹後の福祉」は、つながりを大切にする!

座談会参加者(写真左から):
川渕一清(川渕・みねやま福祉会・マ・ルート)/藤村秀平(丹後大宮福祉会・あゆみが丘学園)/宮下雅和(久美の浜福祉会・かがやきの杜)/高木博史(丹後大宮福祉会・おおみや苑)/谷口由香里(はしうど福祉会)

それぞれの歩み

川渕:では、はじめに宮下さんから自己紹介をお願いします。

宮下:久美の浜福祉会事務職の宮下です。 以前は、金融機関で仕事をしていましたが退職後 久美の浜福祉会に就職し、7年が経ちます。出身は久美浜です。

川渕:地元に戻られた、Uターンですね。趣味はどんなことですか?

宮下:特別な趣味はないのですが、温泉巡りは好きです。

川渕:では高木さんお願いします。  

高木:Iターンで京丹後にきました。京都市内でもケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事に就いていました。田舎暮らしへの憧れが移住の一番の理由です。アウトドアが好きで、年に2回は家族で温泉のあるオートキャンプ場に行っています。

川渕:高木さんが感じる、田舎暮らしの良い点はどんなところですか?


高木:自然が豊かで、子どもが遊べる場所がたくさんあることです。そして、ケアマネだからかもしれませんが、移住後に福祉の仕事は田舎の方がやりやすいことに気づきました。都市部では、施設や病院も多く、誰が誰だかわからない中で仕事をしていました。田舎はコミュニティが小さいので、把握がしやすく、行政、病院との連携も顔の見える中で行えます。またこの協議会のおかげで横の繋がりもでき、わからないことを谷口さんに聞いています。

谷口:そうですね。わからないことや疑問に感じることがあったら、お互い聞き合う中で、連携をとっています。「この書類の様式は?」とか聞いたりすることもありますよ。

川渕:宮下さんは困った時はどうしていますか?

宮下:わからないことは職場の上司だけでなく、他地域の施設に聞いています。一般企業だったらあり得ないことですね。

谷口:京丹後市福祉サービス事業者協議会の定例会を2ヵ月に1度行っていますが、集まった時にお互いいろいろ聞き合う場にしています。行政の方ともやりとりできるので、ありがたいです。

川渕:それはいいですね!では、谷口さん自己紹介をお願いします。

谷口:地元出身なので、Uターンです。京都では医療職で看護師、保健師をし、福祉での分野は未経験でした。京丹後に戻ってから福祉職場に就職しました。この仕事をしていると、ご利用者の中に子どもの頃から知っている方もいて、ご利用者を身近な存在として感じられます。

川渕:暮らしと仕事が近いですよね。趣味はどんなことですか?

谷口:アウトドアに興味はありますが、残念ながら行動には移せていません(笑)。

川渕:私の自己紹介もしますね。私は人材開発室にいて、人材採用と人材育成をメインに仕事をしています。以前はUターン、Iターン希望者をサポートする仕事をしていました。田舎に暮らしたい方が、イメージを持ちやすいような企画や、田舎に行き空き家見学をする企画などを考えてきました。その仕事をする中で移住と仕事の関係は重要だと気が付き、移住したい人と人材を募集している福祉の仕事を結びつける今の仕事につながりました。今年の4月に入社予定の7割がIターン移住で、京丹後にゆかりがない、一人暮らしが初めてという人ばかりです。横の繋がりがあると長いこと働き、やりがいを感じやすいと考え、いろいろと心を配っています。最近の趣味は焚火やBBQのアウトドアです。

藤村:Iターンの人は、どんなことがきっかけで入社していますか?

川渕:法人で働くことを希望された学生がきています。昨年は関西圏内で200人くらいの人と接点がありました。法人でバスを出して丹後に合計90人くらい来てもらい、30人程の内定者を決めました。法人の中にはさまざまな施設があり、働く人の専門性も違ってきます。学生が興味を持てるよう、伝え方を工夫し人材採用に取り組んでいます

谷口:就職後のフォローとかはどんなことをされていますか?

川渕:内定後は、懇親会とか、内定者セミナーなどをやっています。一緒に不動産屋を回り、住まい探しの手伝いをすることもあります。入社後は新任研修をやっています。

藤村:いやー、すごいですね、先に進んでいる感じですね。

川渕:いえいえ、まだこれから挑戦することもたくさんあるので、是非いろいろ教えてください!
では、藤村さんも自己紹介お願いできますか。

藤村:趣味はラーメン屋巡りです。職場の魅力、自慢できることは20代男性の関係が深いことです。一緒に旅行に行くこと、結婚した先輩の家に独身者がお酒だけもって遊びに行き、朝まで話し込むことが定着しています。これは先輩から引き継いだことで、今は後輩たちが我が家に来るようになっています。

川渕:そういうのは、仕事にもいい影響がありますよね。

藤村:チームとしてやっていく上で大切だと感じています。人間関係ができていると、仕事の上でもやりやすいです。最近は「今日、家に行かせてください」と自分から言い、後輩の主体性の高まりを感じます。仕事においても自分の意見をしっかり言うようになり、変化を感じます。

川渕:それはすごいですね。

藤村:福祉サービスは人と人がつながっていく中で成り立つサービスなので、つながりは大事だと思って日々仕事をしています。

“福祉の仕事”は地域課題を解決していく要

川渕:このプロジェクトは3年目ですが、みなさん今年はじめての参加ですよね。こうした法人を越えた繋がり、連携についてみなさんはどう思いますか?

藤村:障害者の入所施設なので、同業者が少ないこともあり、外部と繋がりにくいです。入所施設は情報が入りにくいので、外に出ていくことで、いろんな立場の人と交流できることは刺激になります。

川渕:谷口さん、そういえば最初に市役所に集まったときは、みんな不安そうでしたよね。

谷口:最初の頃は、話がなかなか進まなかったです。でも毎回参加者と交流し、相手の考えや取り組みの様子を聞く中で、距離が近くなったと感じています。話しやすくなってきたので、話の内容も変化してきました。

川渕:高木さんは、いかがですか

高木:ケアマネ同士での話し合いの経験はありましたが、障害分野の人と一緒の話し合いは初めてです。新たな出会いの中で、知らなかった補助金の話とか、さまざまな情報交換もできてよかったです。

川渕:交流があるといいですよね。私の法人では事業所対抗バレーボール大会やボーリング場を貸し切ってのボーリング大会などがあります。交流自体はとても楽しいですし、事業所内の結束力は高まりますが、他の事業所と会話を交わすための工夫も必要だと感じています。

藤村:法人全体の交流を深めるためには、どういう場を設定するのがいいのでしょうね。

川渕:やっぱり「みんな大好き、焚火で語る」ですかね(笑)。宮下さんはいかがですか?

宮下:敷地内に、生活介護施設、就労継続B型事業所があり、少し離れてグループホームがあります。生活介護と就労継続の交流はありますが、グループホーム職員はあまり交流する場はないかもしれません。

川渕:今日はじめて、この『きょうたんご福祉ナビ』のプロジェクトに参加してどう思いましたか?

宮下:なんで囲炉裏を囲んでいるのかって思いました(笑)。でも、みなさん福祉の仕事をされているだけあって話しやすくて、楽しいです。

谷口:楽しさの根源にあるのは共感だったりするので高齢者問題、障害者問題はつながっていて、共通している部分も多いですね。

川渕:みなさんとの交流を通して、京丹後という町は生活と福祉が近いなと感じます。自分たちの仕事が地域の中で役割を持っていると感じますね。

藤村:普段意識しないけど、こういう場でいろいろ話し合うと、その近さを感じますね。

川渕:地域の問題を例にとるなら、地域での雇用が増えて、空き家に若い人が住むようになれば若者や人口が減っていく事による地域の問題だって解決することもありますよね。いろんなことがつながっていく

高木:給食費の話もでましたが。高齢者も同じです。デイサービスに来て、一食でも施設で食べると栄養が確保できるとか、細かいところは違っても根本は一緒ですね。

川渕:福祉分野における交流はこれからどうあるべきでしょう。ガッツリより、緩やかにどうつながれるかが鍵かな?

藤村:せっかくできた繋がりですから、続けていきたいですね。年に2回くらい焚火ですか?

川渕:今回は雨なので囲炉裏ですが火を囲んで、対話するっていいですよね。後輩、他の職員もこういう場に連れてきたらいいかなって思います。

藤村:若い子たちを各法人から出してもらい、若い人たちを育てていく場になれば、人材確保という面からもいいですね。

高木:会議、研修ではなく、話しやすい雰囲気をつくるのは大事ですね。

川渕:楽しい雰囲気の中で語り合うということですね。家に後輩が行くことと同じで、そういう場でいろんなことをバトンタッチしていける。

宮下:職場には20代の若い人がいないですね。

川渕:今はいいけど10年たった時にどうするのか?という課題はありますね。

高木:そうですね。職場では40代、50代が多いので引き継いでいきたいが、引き継ぐ相手が少ないです

川渕:それは福祉分野だけでなく、あらゆる職種の共通課題ですね。

高木:福祉以外の業種を呼んで一緒に考えていく必要もありますね。

藤村:人材確保に向けて、いろんな業種の人と話し合うとかできるといいですね。

川渕:横のつながりを生かし、課題に対して、一緒に考えられたらいいですね。

ワタシ×ジモト×フクシ

川渕:仕事で面白いなと感じることはどんなことですか?

宮下:金融はノルマに追われて厳しく、常に何かに追われている感じでした。今は服装、言葉遣いも含めてかしこまって仕事をする雰囲気ではないです。ストレスは軽減したと思います。

高木:Iターンですが、結局どこでも福祉は同じ仕事だと感じています。人、地域、文化は違うが、やっていることは同じ、そう思えばどこでも働けるなと実感しています。

川渕:京丹後での仕事することの面白さはどこにありますか? 

高木:人間関係の濃さですね。「あそこはこうでこうで、いとこで、兄弟で…」そこまで聞いてないけど…。そこは在宅の面白いところですね。

藤村:自分がモットーにしていることは思いやり、やさしさをもって対応するということです。 呼称のことで、愛称ではなく「さん」で統一しようとなったとき、利用者のご家族に、「さん」と形だけ丁寧に言うだけでなく、わが子への思いをもって接してもらうほうが、何倍も嬉しい。と言われたこときっかけです。

谷口:小規模にいたとき、利用者が松竹梅の鉢植えを作るので苔を探していました。それを知った職員が通勤途中、溝の苔をみつけ、それを採ってきて渡したことがありました。 利用者の思いを支える気持ちが生み出した行動だなって、感じました。

川渕:凄くいい話ですね。これからも、濃い人間関係の良さをとりこみつつ、横のつながりを大切にしていきましょう。というところで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。