私たち介護職員は、日ごろ認知症のご利用者と接するときには3つの「ない」を大切にしています。
では、3つの「ない」とはどんなことでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
誰しも急に何かが目の前に現れたり、ふいに後ろから話しかけられたり、突然大声を出されたりすると驚きますよね。もしかしたら、こちらは気を付けていたつもりでも、認知症の方は気づいていなかったり、突然に感じられたりするような場面があるかもしれません。そのため、このようなことが感じられると、突然怒り出したり、声をあげられたり等、不穏になってしまわれます。話しかける時は「相手の目線でゆっくりと」を心がけましょう。最初は難しくても、だんだんと会話ができるようになります。
*不穏…穏やかではない状態。不安等で落ち着かない様子のこと。
認知症になると「自分がこれから何をするのか?何処へ行くのか?」などの把握が難しくなる場合があります。せかされると嫌な気分なるのは誰でも同じですが、認知症の方にとっては理由が分からずせかされることで混乱してしまい、不穏になることが多々あります。
せかすのではなく、次にどのようにするのか、なんのためにするかを、一つ一つ伝えることで不安を取り除いていけます。
人には自尊心(プライド)があります。これを傷つけるような言動や行動は誰であっても許されるものではありません。特に、認知症の方にとってそれを傷つけられるのは非常に辛く、サービスの利用拒否や引きこもりなどの原因にもなります。認知症の方が感じられている世界を共に大切にする声掛けや行動はどのようにできるか、その方をよく観察し、知り、想像をめぐらすことから始めていきましょう。